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妊婦さんや子育てをしている親は市区町村の行政サービスや社会保険、税などさまざまな恩恵を受けることができます。自分で届け出や手続をしないと適用されない場合ものもありますので、しっかりとチェックしましょう。

●妊娠したら

妊娠がわかったら、役場もしくは保健所に妊娠の届出をして、母子健康手帳を発行してもらいましょう。これによって各自治体の健康診査や育児についての相談、カウンセリングなどのサービスを受けることが出来ます。

妊娠中(妊娠後一定期間まで含みます。)の労働者(以下、妊産婦といいます。)は労働基準法に特別な規定があり、通常の労働者よりも保護されています。会社は危険な業務や有害な業務に就かせることはできませんし、妊産婦から請求されれば時間外労働や深夜労働を命ずることはできなくなります。出産予定日42日前から出産後56日原則休業をさせなくてはなりません。もちろん妊娠を理由とする解雇はできません。また、産前産後休業期間中とその後30日間はどんな理由であっても解雇はできません。また、男女雇用機会均等法では妊娠中および出産後に働く女性について、事業主に母性健康管理の措置を義務付けています。母性健康管理の措置には健康診査を受けさせる時間を確保したり、医師の指示が守られるように勤務時間を変更したりすることなど、妊娠中の女性の健康管理を行うことができるように行動することが当てはまります。

妊娠中〜産後1年
危険有害業務の就業制限(禁止)
勤務内容の変更請求
時間外深夜労働の辞退
産前42日(多胎妊娠の場合産前98日)〜産後56日
産休の請求(産後は就業禁止)
産後1年以内
育児休業の請求
子の小学校就学まで
子の看護休暇の請求(5労働日/年)
時間外深夜労働免除の請求

●出産したら

まず、出生届を提出することで出生した赤ちゃんを戸籍に「入籍」させましょう。また出生の報告(連絡)を母子手帳を発行してくれた役所にします。戸籍謄本・抄本は調整に時間がかかります。通常は1〜2週間位です。

0歳から満15歳までは児童手当が支給されますので、手続を忘れないようにしなくてはいけません。児童手当は「申請した月の翌月」からしか支給されないのです。2月、6月、10月にもらえます。

医療保険からの給付も受けましょう。「出産育児一時金」「出産手当金」も請求し忘れてはいけません。出産育児一時金は妊娠4月以上ならば、出生しなくても支給されますので、力を振り絞って請求してください。産前産後休業をとっている方や出産直前まで働いていた方は出産手当金が支給されます。出産育児一時金と出産手当金の請求には医師の証明が必要ですから、早めにもらっておくといいでしょう。国民健康保険の方も自治体によっては給付が受けられることもありますので問い合わせてみるとよいでしょう。

サラリーマンの方は勤務先への届出も忘れないようにしましょう。健康保険証は勤務先に届け出ないと発行されません。時期によっては交付に時間がかかることもありますので、名前が決まったらすぐに連絡しましょう。会社によっては家族手当の支給、お祝い金の支給があるところもあります。また、ほかにも労働組合などの共済制度があるところにはこちらへの届出も忘れずに。何かとお金が入り用になりますのでもらえるものは何でももらっておきましょう。

もし、出産の際の費用が払えないという方は健康保険などの融資制度を受けるとよいでしょう。無利息なので安く借りられます。事前に申請しておけば、出産育児一時金の分だけあらかじめ差し引くこともできますし、出産後に手続きしても治療費を相殺することができます。

●子育て支援

会社勤めの方は産前産後休業後そのまま育児休業を取得される方もあると思います。育児休業中は健康保険料、厚生年金保険料は免除になります。雇用保険に加入していて一定の要件を満たす方は育児休業期間中に手当(育児休業給付)がもらえます。会社が手続きしてくれる場合もありますので確認しましょう。

こどもを育てながら勤務を続ける労働者に対して、企業にはいろいろな配慮義務が課せられています。子の看護休暇制度、勤務時間短縮制度、軽易な職務への配置転換などです。これらは、就業規則に書いてあろうがなかろうが必ず適用されますので、堂々と請求しましょう。

子育てに時間をとられてしまい、出産前よりも給料が下がってしまった方は年金事務所へ申し出をしましょう。たとえ保険料は安くなっても年金額が減ってしまわないようにするための届出です(養育期間標準報酬月額特例の申出)。

父親が死亡してしまったり、離婚したことによって母子家庭となってしまった場合には、市区町村(一部の地域は都道府県)を通じて児童扶養手当がもらえます。また、生活資金や就学資金などを低利もしくは無利息で融資を受けられる制度(母子福祉資金貸付金)も利用できます。所得税については寡婦(寡夫)控除の対象となる場合がありますので勤務先に申し出るか、確定申告の際忘れずに申告してください。

●保育園に入所させる。幼稚園に入学させる。

保育園と幼稚園。最近では認定子ども園も新たに規定されましたが、似たようなものと感じている方も多いと思います。最も大きな違いは管轄する役所が違うこと、です。それでは説明にならないので、もう少し詳しく説明すると


保育園(保育所)
幼稚園
認定子ども園
法律
児童福祉法
学校教育法
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律
目的
保育に 欠ける乳児又は幼児を保育すること 幼児を保育し、適当な環境を与えてその心身の発達を助長すること
地域において子どもが健やかに育成される環境を整備すること
対象
乳児
幼児
少年
満3歳から小学校就学の始期に達するまでの幼児
乳児
幼児
保護者の要件
働いている
問わない
問わない
年間の保育・
教育日数
規定なし
39週以上
規定なし
一日の教育・
保育時間
原則8時間
標準4時間
原則8時間
担当
福祉担当
教育委員会または学校の担当部署
福祉と教育担当の両方または
子育て支援担当
※乳児:1歳未満・幼児:1歳から小学校就学の始期まで・少年:小学校就学の始期から18歳未満

といった具合です。幼稚園はあくまで「教育施設」という位置づけですので、幼稚園教諭つまり先生の資格をもった職員が配置されています。

●いよいよ小学校入学です。

小学校入学時期になると「就学時健康診断」お知らせが住所地の役所から送られてきます。必ず受診してください。

さて、「就学通知書」が送られてきました。これらは住所地に送られてきます。越境入学は認められていないことが多いので注意しましょう。「ウチは私立ざます。」という方も入学承諾書が発行されるはずですので役所へ届けるようにしましょう。

もうすぐ、一年生です。子育ての大きな関所を越えられそうですね。

※親の責任、子の権利

「子どもは親が育てるもの」という考えは法律にもきちんと書いてあります。「親権」です。

親の権利というよりは子どもの権利という考え方に基づいています。両親がいない、不明であるなど親権を行使することができない場合には「後見」の制度によって子どもは保護される仕組みになっています。

両親が婚姻している場合、親権は両親が共同で行います。片方の親が勝手に親権を行使することはできないとされています。離婚する場合には、親権者をどちらとするのか協議する必要があります。協議がまとまらなければ裁判所が親権者を決めることとなります。この場合は離婚原因がどちらにあるかどうかではなく、子の親権をどちらの親が行使することが適当かで決められます。親権者は子の監護、教育、居所の指定などの身の回りの監護(身辺監護)、子に代わって財産の管理や法律行為(代理)を行います(行為的監護)。

子どもは自分で働くことが出来ませんので、親が扶養し養育していくこととなります。親が扶養できない場合にはさらにその親(祖父母)などの直系血族およびその子の兄弟姉妹、原則的に扶養する義務を持ちます。子どもにはこれらの親族などに扶養してもらう権利を持っておりこれを親やその他の人が処分してしまうことは出来ません。

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