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契約についての基礎知識 |
契約は当事者間の約束ごと |
日常のくらしの中で、もっともたくさん登場する法律行為は「契約」ではないでしょうか。当事者間で行われた約束は法律でも守らなくてはいけないものとして定められています。
契約はその当事者が合意さえすれば、成り立ちます。
たとえば、同じ大根をある人には1本100円、ある人には1本500円で売ったとしてもお互いに納得してればそれは有効に成り立ちます。スーパーだと定休日前の閉店間際になるといろんなものが安くなるでしょう?
合意の方法も自由です。契約書を交わしていようが、口約束であろうが約束は約束です。大根一本を買うのに契約書を交わす人はいないでしょうからね。
そうはいっても何でもかんでも自由ということにすると不都合なことがいろいろと出てくるので、法律は一定のルールを決めているのです。
契約でとても重要なのは「合意」できているかどうかということです。
たとえば、契約の際木刀をもった怖いお兄さんたちに囲まれていたら・・・。契約書にサインしちゃいますよね。また、お家を買おうとして案内された場所が全然別の場所だったり、実は内装が工事中だったり・・。契約書の内容がウソっぱちだったりしたら、これらは合意しているとは言えません。こういった契約は始めから成り立っていなかった、もしくは、なかったことにするように法律は決めています。
また、契約の内容が十分に理解できないことがはっきりしている子供や認知症で十分な理解ができないとされたお年寄りなどは、仮に契約してしまってもそれを取り消すことができる仕組みが作られています。
契約を交わす際にはいろいろなルールの下で行わなくてはいけません。
先ほどの大根の話だと、通常では大根はお金と交換します。もし、お店がお金をもらって大根を渡さなければ、お客さんはほかの店に行くのでお金を返してほしい、というでしょう。
さて、これが家ならどうでしょう。家とお金を交換して持って帰るわけにはいきません。その場合は実際に家に住む、とか、(登記)名義を変えてもらう、とかいう形で交換します。家を買った側はお金を月賦で払う、一括で払うという方法でお金を払わなくてはいけないという義務が発生します。もし、家を買った人がお金を払ってくれないのなら、売主は家を明け渡してほしいということができます。
契約する方法が決められている場合もあります。
たとえば、質屋さんへ指輪を持っていってお金を借りる場合、指輪を渡さないと質屋さんはお金を貸さなくてもいいのです。
契約には売買だけでなく、お金の貸し借り(金銭消費貸借)、委任、雇用契約などいろいろな種類の契約があります。それぞれに応じてルールが定められています。
契約が自由とはいっても、してはいけない契約もいくつかあります。
たとえば、報酬をもらって人を殺すなど、犯罪を犯すことを前提とした契約は効力がありません。ですから、殺し屋のゴルゴさんが仮に人殺しをしなくても、大根のときのように依頼者が「お金を返せ!」と言うことはできません。
刑事法以外の法律に定められていることもあります。労働基準法では他人に給料を渡して働かせるという契約はできない、とされていますし、利息制限法では一定の利息以上の利息を取ることを認めていません。
<他人の物を契約の対象にする>
他人のものを売ったり貸したりする契約は、契約そのものとしてはOKです。ただし、他人から「売った」ものを手に入れて、それを買った人に、物を引き渡さないといけません。
<物を引き渡さずに売る>
たとえば、倉庫いっぱいの大豆を売ってあげたから持ってけ、と言われても困ってしまいます。物を動かすことなく持ち主たる権利を移すこともできます。
<出世払い>
よく、言い訳に使われる約束事ですが、法律の世界では不確定な期限付きの契約ということになるのです。「出世」をどのタイミングとするかは当事者間で決めておかないとダメですけれども。
平成13年4月1日に施行された消費者契約法は消費者を悪徳商法などから保護し、救済するために作られた法律です。民法の原則では契約の当事者は互いに対等の立場であるとの考え方にたっています。ところが実際の取引の場面では業者である相手方が専門知識を持っているのに対して、消費者はシロウト、ということがしばしばあります。そのため、消費者契約トラブルが頻繁に起こっていました。
消費者契約法では契約の当事者である会社、団体などを「事業者」と定義して、事業者と消費者が取引をするときに事業者から十分な情報や商品等に対する説明がなかった場合には、消費者が一方的に契約をキャンセルできるように定められています。さらに、キャンセルしたことに伴うキャンセル料についても、その上限値を定めており、法外なキャンセル料をタテにとってキャンセルすることを妨害できないようにもなっています。
消費者契約法のほか割賦販売法や訪問販売法にもキャンセルできる条項(クーリングオフ)が定められています。法律では当日を入れて8日間はキャンセルできることとされていますが、期間を過ぎていてもキャンセルに応じてくれる事業者もあるようです。「しまった!」と思っている人はダメもとで行動してみるとよい結果がもたらされるかもしれません。
参考リンク:消費生活安全ガイド(経済産業省HP)
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